バイクの前輪「ブレーキが利かなくなった」「利きが悪くなった」「遊びが増えた」ということはありませんか?原因はブレーキフルードの劣化にあるかもしれません。
「走行距離が多い」「長く乗っている」「青空駐車している」に該当する場合、ブレーキフルードが劣化している可能性が高くなってきます。
今回はブレーキフルードの交換作業をお送りします。
ブレーキフルードが劣化するメカニズム
ブレーキフルードには吸湿性があります。
フルードタンクはゴムパッキンで密閉されていますが、ゴムにはごく僅かに吸水性があります。その僅かな水分を長い時間をかけてフルードは吸い劣化するのです。
※吸湿性…空気中の水分を吸うという性質、ゴムの吸水性…1%前後
外見上の変化
新品のブレーキフルードは透明に近い色をしていますが、吸湿や劣化によって茶色、黒色へと変色します。
点検の際は、マスターシリンダーの蓋を取り外して確認します。理由は、マスターシリンダー横の点検口での見え方と、実物の見え方とでは異なることが多いからです。
フルードが劣化したときにでる症状
- ブレーキの遊びが増えた
- ブレーキが利かなくなった(ブレーキレバーの可動範囲すべてが遊びになった)
フルードが水分を吸い劣化するほど、ブレーキの利きが悪くなります。長期間放置した場合、ブレーキが利かなくなったり、ブレーキホース内が詰まりブレーキラインのオーバーホールが必要となることがあります。
タンク容量の少なく、雨ざらしになる機会の多いバイクの場合は1~2年に一度交換された方が良いでしょう。
原因の切り分け
「ブレーキが利かない」という不調の原因は次のものが挙げられます。部品を注文する前に原因の調査を行いましょう。
ブレーキパッドの摩耗
ブレーキキャリパーの下側からブレーキパッドの摩耗状態を確認します。パッドの残量が少なくなり、摩耗限界まで達している場合は新品に交換します。
ブレーキフルードの劣化
ブレーキフルードが経年劣化や湿気をすったことにより、劣化している可能性があります。ブレーキフルードを新品に入れ替えることで、症状を解消することができます。
オイルシール破れ
「マスターシリンダー」「キャリパー」のシールが破れて油圧が上がらず、ブレーキが利かない可能性があります。ブレーキパッドを交換した際、ピストンの錆取りや清掃が不十分な時に起こります。
ブレーキシステムの異常
「ブレーキレバー」「マスターシリンダー」「ブレーキホース」「キャリパー」のいずれかに破れ、詰まりなどの異常がある可能性があります。その場合、原因部分またはブレーキシステム全体を新品に交換します。
交換手順
ブレーキフルード交換はエンジンオイルやギアオイルが抜けるのを待つ間に済ませる事ができる丁度良い作業です。用意するものなどはを前回のフルード交換作業を参照してください。
1.マスターシリンダーの蓋をあけます。
フルードの色も濃くなっていますね。前回の交換から2年(1万3千キロ)経過しています。
2.ダイヤフラム(ゴムの内蓋)に破れがないか確認します。破れが見つかった場合は、新品に交換します。
3.マスターシリンダー内に残っている古いフルードを抜き取ります。
百円均一の化粧品コーナーで売られている「注射器」またはハンドソープ用「手動ポンプ」を使うと便利です。今回はウエスに染み込ませて、抜き取りました。
※手順「3」は飛ばすことも可能です。その場合、手順「5」へ移行します。
4.マスターシリンダー内のフルードが減ったら、新しいフルードを継ぎ足します。
5.ブレーキキャリパーの「ブリーダーバルブ」に「8mmメガネレンチ」「ゴムチューブ」を取り付けます。
※「ブリーダーバルブ」…キャリーパーのフルード抜き取り口のこと
写真がないので詳細は「前回のフルード交換」を参照ください。
6.「ブレーキレバーを握る」→「ブリーダーバルブを(少し)緩める」
7.古いフルードがでてくる
8.「ブリーダーバルブを締める」→「ブレーキレバーを離す」
手順6~8を繰り返し、マスターシリンダー内のフルードが減ってきたら新しいフルードを継ぎ足します。(手順3)
9.ブリーダーバルブから新しいフルードがでてきたら、ホース内のブレーキフルードは入れ替わりました。ブリーダーバルブを締めこみます。
10.マスターシリンダー内のフルードを規定ラインまで満たします。
11.マスターシリンダーの蓋を締めて作業終了です。
注意するポイント
ポイント!(注意事項)
- 手順6~8においてブレーキレバーはブリーダーバルブを締めるまで離さない
- マスターシリンダー内のフルードは空にしない
これらの事を守らないと(ブリーダーバルブ、マスターシリンダーから空気を吸い込み)エアーを噛むことがあります。
ちなみに私は途中でレバーを離してしまい、しっかりエア噛みさせました。
w▼ ̄□ ̄;▼!ギャァー
エアーを噛ませた場合の復帰手順
<ブリーダーバルブ側からエアーを吸い込んだ場合>
- ブリーダーバルブを緩めた状態で、ブレーキレバーを再度握り込みます。
- ブリーダーバルブから気泡とフルードが出てきたのを確認した後「ブリーダーバルブ」を締めこみます。
<マスターシリンダー側からエアーを吸い込んだ場合>
- マスターシリンダー内を新しいフルードで満たします。
- ブリーダーバルブを締めた状態で、ブレーキレバーを「握り込む」「放す」をゆっくりと繰り返します。
<それでもエアーが抜けない場合>
- ブレーキレバーに感触がありブレーキが利くのであれば、ブレーキレバーを握った状態で(ロープ等を使い)レバーを固定します。数時間固定しておくことで、気泡が抜けます。
あとがき
ブレーキフルードを交換した後は、ブレーキのタッチがカッチリした印象に変化しました。
通勤通学に使用されている方や、青空駐車している方は年に1回のブレーキフルード交換をお勧めします。
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