同僚から譲ってもらった走行距離6万キロのインパルス整備の続きです。前回はステムベアリング交換を行ったので、今回は中古車メンテナンスの基本「オイル交換」を行いました。その時に異常な現象が起こったのです。
エンジンオイルについて
オイルはたった一つで「潤滑」「冷却」「洗浄」「密封」「防錆」という5つの役目を果たしています。
- 潤滑 …金属部品同士が焼き付かない様に油膜をはり摩擦や摩耗を抑える
- 冷却 …エンジンで発生する燃焼熱や摩擦熱を吸収し発散することで冷却している
- 洗浄 …部品同士の摩擦によりできた鉄粉などの不純物をフィルターまで運び濾過する
- 密封 …金属部品同士にはわずかな隙間があり油で密封することで混合気を圧縮できる
- 防錆 …エンジン内部部品をサビや腐食から防いでいる
決められた品質以上のエンジンオイルが適量入っていてはじめて、エンジン本来の性能を発揮することができます。
準備するもの
- オイル : 3L
- オイルフィルター
- オイルフィルターレンチ
- トルクレンチ
- ドレンワッシャ
今回は奮発してホンダG2ウルトラオイルを用意しました。
交換手順
1.エンジンを始動させて暖気を行います。暖気を行うことでオイルパンに沈殿していたスラッジ(鉄粉など)を撹拌させてオイルと一緒に排出することができます。ドレンプラグを触って暖かくなれば暖気終了です。
2.ドレンプラグを取り外してオイルを排出します。通常であれば2.7L前後のオイルが出てきます。しかし3Lのオイル受けがいっぱいになるという不思議な現象が起きました。
∑( ̄[] ̄;)!ホエー!!
その後もオイルが出るわ出るわで、なぜかインパルスの中には4L以上のオイルが入っていました。オイルも粘度がなくサラサラしている印象です。
この時は前の持ち主がオイルを多く入れ過ぎたのだと思ったのですが、半年後に再びオイル交換を行った時にもオイルが増えていました。私はオイルを増やすことができる怪奇バイクを買ってしまったのでしょうか。|||||(=ω=。)ガーン|||||
3.オイルを抜き終えたら、ドレンワッシャを交換してドレンプラグをセットし規定トルクで締め付けます。(締付けトルク:23N・m)
4.オイルフィルターレンチを使ってオイルフィルターを取り外します。固く締まっていて取り外せない場合は、ウォータープライヤーなどを使って力ずくで回し取り外します。
5.新しいオイルフィルターのOリングにオイルを塗り、バイクに取り付け規定トルクで締め付けます。
フィルターの締付けトルクは「10~14Nm」です。トルクレンチがない場合は「着座後、3/4回転」を目安に締め付けます。ただし締め過ぎは内部プレートを変形させる事があるので注意が必要です。
6.点検窓をチェックしながら、新しいオイルを適量入れます。
7.オイル交換終了後に、エンジンを始動させて新しいオイルをエンジン内に循環させます。エンジン停止後、3分ほど置いたのちにオイル量が規定ライン内にあるのを確認して作業終了です。
オイルが増える原因
オイルが増えた原因は、キャブレターのOリングの劣化が原因でした。
インパルスに使用されているキャブレターはフロートのOリングが摩耗して痩せてしまうと、シール機能が低下してからガソリンが溢れるという現象が起こります。溢れたガソリンがキャブレターを通してエンジン内に入っていたのです。対策はキャブレターのオーバーホールを行い、Oリングなどの消耗部品を交換します。
オイルにガソリンが混じり、その割合が増えてくるとエンジンの始動性が悪くなるという症状がでる事があります。オイル交換直後は調子が良いが、日が経つにつれて始動性が悪くなるという症状が出ている場合、オイル量をチェックしてみてください。オイルが増えているようならオイルにガソリンが混ざっている可能性があります。
オイルにガソリンが混ざるとどうなるか?
エンジンオイルにガソリンが混ざると、粘度が落ちてサラサラになり「潤滑」「密封」の役割を果たせなくなり、エンジンが焼き付き壊れてしまう恐れがあります。
「冷却」「洗浄」「防錆」においてもガソリンでエンジン内を洗っていれば支障がでるということは容易に想像できるでしょう。最悪の場合、火災が起きる可能性もあります。
あとがき
オイル交換を行った後は今までの不調が嘘の様にエンジンの状態が良くなりました。オイルが劣化してシリンダー周辺部品の「密封」の役割が失われていたことが始動不良の原因となっていた様です。
「オイルはエンジンの血液である」
今回の件でその言葉の通りであると感じ、エンジンオイルの重要性を改めて認識させられました。エンジンオイルをチェックすることでバイクの状態を知ることができます。日常のオイル量確認と定期的なオイル交換をお勧めします。
コメント